Hans J. Wegner
ハンス J. ウェグナー
20世紀を代表する世界的な家具デザイナーの Hans J. Wegner(ハンス J. ウェグナー)は、デンマークデザイン界において、最も創造性と独創性に溢れたデザイナーで、椅子の巨匠として500脚以上の椅子をデザインしています。そしてその多くが現在名作として、国際的に高い評価を受けています。
ハンス J. ウェグナーは、1914年に靴職人を父にデンマークとドイツの国境の町、トゥナーに生まれました。家具職人 H.F スタルベアーグの元で家具を学び、17歳で家具職人の資格を取得。3年後コペンハーゲンに移り、1936年から1938年までコペンハーゲン美術工芸学校家具科でデザインを学びました。
1940年、ウェグナーは
Arne Jacobsen(アルネ・ヤコブセン)とエリック・ムラーが担当する、オーフース市市庁舎の建築プロジェクトに参加し、そこに納める家具をデザインしています。またデニッシュデザイン界に大きな貢献を残した家具工房 ヨハネス・ハンセン社との協働もこの年に始まりました。
ウェグナーならではのフォルムや美しい接合部を創り出す基盤となっているのは、家具職人としての技術と知識。そして美的センスは、木材への深い造詣と、天然素材への探究心がベースとなっています。これがウェグナーならではの、ミニマリスティックでありながら温もりのある、オーガニックなフォルムを創り出しているのです。
北欧家具の名門工房の一つである
「PP Mobler (PP モブラー)の PP503 THE CHAIR(ザ・チェア)」。ウェグナーはデザインした当初この椅子を「ラウンドチェア」と呼んでいました。
1960年アメリカ大統領選の際、ジョン・F・ケネディとリチャード・ニクソンが腰掛け、テレビ討論会を行ったことにより世界的に注目を集めることとなります。当時腰に悩みがあったケネディが、背中がサポートされる快適な座り心地と座った様の美しさに感心し、「これぞ椅子の中の椅子、特別な椅子」という意味から「The chair!」と呼びました。この歴史的な討論会を機に、ザ・チェアという愛称で呼ばれるようになりました。
当初、背もたれのジョイント部分が直角だったため、籐を巻いて隠していましたが、形状がフィンガージョイントに改良され、美しいデザインとして再認識されました。現在ではザ・チェアの特徴のひとつになっています。
Hans J. Wegner COLLECTION