Børge Mogensen

ボーエ・モーエンセン

Børge Mogensen(ボーエ・モーエンセン)は使用する人びとを核に、その独特のコンセプトで耐久性に優れた家具を世に送り出してきました。第二次大戦後、デニッシュモダンを牽引した大きな影響力を残すデザイナーの一人です。ボーエ・モーエンセンはデモクラティックデザインを掲げ、住宅、コントラクトに向けた、シンプルで機能性に優れた木製家具を数多く発表。いずれも控えめな美学と耐久性を考慮した構造が特長となっています。デザインの基盤となっているのは、明確な構造と装飾をできるだけそぎ落とすこと、そして実験的な試み。その好例がハンティングテーブルやデッキチェアのセットです。またFredericia(フレデリシア)と共に創設時から、「J39 チェア」等、丈夫で長持ちすることで定評のあるチェアを中心に制作しました。
Børge Mogensen(ボーエ・モーエンセン)

Børge Mogensen

ボーエ・モーエンセン


デンマークのモダンデザイン界を牽引した家具デザイナーのひとり、Børge Mogensen(ボーエ・モーエンセン)。彼が活躍した20世紀前半、世界ではガラスやスチールのような新素材を用いた家具が次々誕生していましたが、モーエンセンは、木や天然皮革、毛織物のようなクラシックな素材にこだわりました。特に、木については幼い頃から関心を寄せていたようです。
モーエンセンは1914年にユトランド半島で生まれ、3人兄妹の次男として育ちました。そんな彼の父親は、家族に対して暴力的な一面があったといい、モーエンセンは辛い現実から逃避するように、何度も森の中に佇むマダム湖を訪れていました。木の枝を拾ったり、丸太を叩いて木の音を聴いたり、自然と戯れる時間が彼の心を癒したのでしょう。
いつしか木工に興味を抱いたモーエンセンは、16歳で木工職人に弟子入りすることに。棺桶などの製作に取り組みながら修行を重ね、20歳で家具マイスターの資格を取得しました。その後も職人として腕を磨いたモーエンセンですが、21歳の頃に首都コペンハーゲンに移住したのがきっかけで、デザインの世界にも興味を示すようになります。
そして1936年にコペンハーゲン美術工芸学校に入学。本格的に家具のデザインを学び始めます。ちなみに、この時同級生として出会ったのが、後にYチェアをデザインし、20世紀を代表する家具デザイナーとして名を連ねたHans J. Wegner(ハンス J. ウェグナー)でした。偶然にも、モーエンセンとウェグナーは同い年で同郷、さらに家具マイスターという共通点があったのです。2人はアパートで共同生活をしていた時期もあり、良き親友でありライバルとして生涯交流を続けました。
モーエンセンは、美術工芸学校を卒業後、さらにデンマーク王立芸術アカデミーの家具科に進学。そこで師となるKaare Klint(コーア・クリント)に出会います。コーア・クリントといえば「デンマーク家具の父」と呼ばれる人物。古典様式の家具を尊重し、それらを調査・分析することで、現代社会に相応しいカタチへと改良する「リ・デザイン」という方法論を確立した他、人体の計測に基づく数学的なアプローチを家具デザインに導入したことでも知られています。在学中から彼の事務所で実務経験を積んでいたモーエンセンは、キャビネットをデザインする際に吊り下げたコートの丈や畳んだシャツの幅を計測したり、人体寸法を出発点として椅子を設計したりするなど、クリントの教えを忠実に実践しました。
そして1942年、モーエンセンにとって、家具デザイナーとしてのキャリアを大きく飛躍させる出来事が起こります。弱冠28歳にして、FDB(デンマーク生活協同組合連合会)家具部門の初代企画デザイン主任に抜擢されたのです。モーエンセンらは「美しく、丈夫で機能的、かつ低価格な家具の供給」を理念に掲げ、それまで販売されていた装飾的な高級家具を一新しました。
モーエンセンのデザインは、クリントメソッドを継承した、合理的な機能主義に基づくもので、直線や平面的なフォルムが特徴的。モーエンセンは「人が家具に合わせるのではなく、家具が人に合わせるのだ」と主張し、人々の日常生活に寄り添う家具を多数手掛けました。同じデンマーク出身のデザイナーFinn Juhl(フィン・ユール)の、曲線を用いた彫刻のような家具とは一線を画すものです。
J39 CHAIR(J39 チェア)
 
「Fredericia(フレデリシア) J39 CHAIR(J39 チェア)」は、モーエンセンの代表作のひとつ。18~19世紀にシェーカー教徒(キリスト教派のひとつ。自給自足の生活をし、彼らの制作した工芸品や家具などは、アメリカ美術史上に大きな影響を与えている。)が使用していたシェーカーチェアにヒントを得て製作されました。デンマークでは「Folkestolen(=庶民の椅子)」の愛称で広く親しまれています。
THE SPANISH CHAIR(スパニッシュ チェア)
「Fredericia(フレデリシア) THE SPANISH CHAIR(スパニッシュ チェア)」は、モーエンセンが旅先のスペインで出会った、伝統的な革張りの椅子をリ・デザインしたチェアです。

BM1160 HUNTING TABLE(BM1160 ハンティングテーブル)
 
「CARL HANSEN & SØN(カール・ハンセン&サン) BM1160 HUNTING TABLE(BM1160 ハンティングテーブル)」は、ハンティングロッジ(狩猟小屋)をテーマに開催されたコペンハーゲン家具職人ギルド展に出品されたテーブル。材料の加工や接合部の仕上げなど、ディテール部分に職人技が光っています。

BM0865 DAYBED(BM0865 デイベッド)
 
「CARL HANSEN & SØN(カール・ハンセン&サン) BM0865 DAYBED(BM0865 デイベッド)」は、ライフスタイルの変化に合わせて構築する家具をコンセプトにデザインされました。高度な張り加工が際立つシンプルなデザインは、どんな空間にも安らぎを与えてくれます。
BM0488L COFFEE TABLE(BM0488L コーヒーテーブル)
 
「CARL HANSEN & SØN(カール・ハンセン&サン) BM0488L COFFEE TABLE(BM0488L コーヒーテーブル)」は、BM0865デイベッドに合わせてデザインされたもの。モーエンセンは、自身のカントリーハウスでこのテーブルを愛用していました。

モーエンセンは、1972年に58歳という若さでこの世を去りましたが、半世紀経った現在でも、大学や病院など、デンマーク国内の多くの施設で彼の家具を見ることができ、それらがいかに愛されてきたかがわかります。時代が変われど、モーエンセンの作品が色褪せることはありません。


Børge Mogensen COLLECTION


CHECKED ITEMS最近見たアイテム

clear

ボーエ・モーエンセン
TOP