Marcel Breuer
マルセル・ブロイヤー
今回ご紹介するのは、モダニズムの父とも称されているデザイナーの Marcel Breuer (マルセル・ブロイヤー)。家具から建築まで幅広く手掛けた彼の足跡を辿ります。
マルセル・ブロイヤーは1902年にハンガリーで生まれ、ウィーンで美術を学んだ後にドイツへ移り、創設間もないバウハウスに第一期生として入学しています。同校の家具工房で木工技術とデザイン感覚を養ったブロイヤーは、そこでマイスターの称号を取得し、卒業後も家具工房の主任を務めながら創作活動を続けていきました。
ちなみに彼が弱冠23歳にして考案した『クラブチェアB3』は、自転車のハンドルの構造に着想を得たスチールパイプの椅子で、芸術と産業を調和させるというバウハウスの思想を見事に具現化した名作です。それはバウハウスの同僚であり画家のWassily Kandinsky(ワシリー・カンディンスキー)のために作られたことから、通称『ワシリーチェア』とも呼ばれ、モダンデザインのアイコンのひとつに数えられています。
マルセル・ブロイヤーの才能は、バウハウスの校長であり著名な建築家であった Walter Gropius(ヴァルター・グロピウス)も認めていたほど。グロピウスがナチスの台頭によってロンドンへ亡命し、現地の住宅・家具メーカーである ISOKON(アイソコン)社のパートナーに就任することになった際、ブロイヤーを同社のデザイナーとして迎え入れたのです。
そんなブロイヤーは1937年にアメリカへ渡り、ハーバード大学の教授となったグロピウスの誘いで同大学の教職に就きますが、建築家として活躍していたグロピウスの影響もあり、彼の関心は次第に家具から建築へと移っていったようです。後年にかけて建築の仕事を本格化させたブロイヤーは、ユネスコ本部や旧ホイットニー美術館などの名建築を生み出し、建築家としての地位も確立していきました。
79年の生涯の中で、次々と先駆的なデザインを生み出したマルセル・ブロイヤー。
彼にとって、人間の本能に根ざしたものを生み出すことこそがモダンデザインであり、それは自身の思想や仕事の中に深く根ざした哲学でもありました。ブロイヤーが残したマスターピースの数々は、今日のデザイナー達にも大きな影響と刺激を与え続けています。
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